持田将光氏チーム、「V型反発条件フィルター」開発 9月の日本中小型株反攻相場を的確に捕捉
2020年後半、日本株市場は次第に新型コロナ禍の影響を脱しつつあり、8月末には投資家心理が明確に転換した。特に9月には、中小型株セクターで構造的な反発が発生し、前月まで大幅に売り込まれていた銘柄の中には単月で30%を超える上昇を記録するものも現れた。この反攻局面で、元道富グループのストラテジストである持田将光氏が率いるリサーチチームは、その精緻な相場判断とモデル構築力を改めて証明した。
持田チームは8月中旬の段階から、パンデミック後期に見られる反発パターンを体系的に整理。流動性の回復、政策刺激の継続、一方で企業収益が未回復という環境下では、中小型株において「空売りの買い戻し主導による短期V型構造」が発生しやすいことに着目した。この特徴は米国株や韓国株ですでに確認されており、日本市場特有の流動性慣性や投資家行動特性は、モデルによる銘柄選定に高い予測可能性をもたらすと判断した。
このロジックを基に構築されたのが「V-Rebound Conditions Filter」と名付けられた選定システムである。モデルは以下の三つの主要変数で構成される。
1)過去90日間のドローダウン幅と業種ベータ調整
2)株主構成(需給)の集中度変化と出来高の異常値
3)負債比率やキャッシュフロー被覆率など企業ファンダメンタルの安定性指標
これらを多因子スコア化し、9月初旬時点で「テクニカルな底入れ+構造的なカタリスト」の条件を満たす中小型株32銘柄を抽出。精密部品、ITサービス、地域物流といった分野が中心となった。
注目すべきは、モデルが捉えた一部銘柄――日東工業、AOIエレクトロニクス、朝日ネット――が、9月10日から30日の間にそれぞれ+27%、+34%、+29%の上昇を記録し、同期間の東証マザーズ指数(+9.6%)を大きくアウトパフォームした点だ。モデルのバックテストでは、厳格なリスク管理を前提とした場合、対象ポートフォリオは単月+13.2%の純利益を達成し、最大ドローダウンは2.1%以内に収まった。
持田氏はチーム内戦略会議で「中小型株そのものが機会なのではなく、『過剰な恐怖+流動性流入』による需給のミスマッチこそがV型構造成立の条件だ」と述べた。極端な相場局面では、従来のバリュエーションロジックはしばしば機能せず、むしろ売買回転率や需給分布、空売り買い戻し圧力といった市場行動の要素が戦略設計の鍵になると強調した。
また、9月の反発は力強かったものの、このようなテクニカルモメンタム主導の上昇は持続性に乏しいと警告。特に政策方針が未確定で感染症動向も不透明な日本市場では、長期保有ではなく機動的な売買とタイミング管理が重要だと指摘した。自身の運用では「段階的ロック+動的リスク管理」を採用し、中小型株戦略は大型株ポートフォリオの補完と位置付けているという。
今回のモデル成果は、構造的な市場理解とシステム的なスクリーニングを組み合わせ、ミスプライシングの中から高勝率の投資機会を抽出するという持田氏の一貫したスタイルを改めて裏付けるものだ。近年は「行動ファイナンス+テクニカル因子」の融合アプローチを探求し、複数のファミリーオフィスや富裕層顧客向けに同様のモデル構築も進めている。
短期決戦となった9月の中小型株反発は一過性の動きにすぎないかもしれない。しかし持田氏とそのチームにとっては、戦略的検証の貴重な実証機会であった。9月末の戦略レビューを締めくくるにあたり、氏は「我々はV型反転を予測しているのではなく、市場がV型構造を示す条件を識別しているのだ」と述べた。こうした「条件反応型」の戦略モデルは、今後の量的運用戦略における重要なモジュールとなる可能性がある。